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2025.05.30活動報告

柏島リーフチェック2025を行いました

2025年5月20日、柏島の後の浜にてリーフチェックを行いました。

リーフチェックとはサンゴの健全度を把握する調査のことで、柏島では2001年〜25年間に渡り調査を継続してきました。

リーフチェックについて詳しく知りたい方は、下記URLをご覧下さい。

About Reef Check

調査は毎年ほぼ同じ時期に、同じ場所(水深約3Mラインと約10Mラインの定点)で、同じ手法でデータを取っていきます。

調査方法はそれぞれの定点において、100Mのメジャーを引き、そのラインに沿って底質の状況とラインの左右2.5M幅のエリア内に生息している魚類、無脊椎動物(ウニやナマコ、食用の貝類など)の種類と個体数を調査します。

下記に底質の状態の変化をグラフで示します。

ここで注目して欲しいのは生きているサンゴの割合です。下のグラフの緑のバーがそうです。

サンゴが広がる柏島の海といってもいつも同じ状況ではありません。

2001年の調査当時、水深約3mでは海底の約63%が生きているサンゴに覆われていたのが、その後徐々に減り2005年には僅か3%にまで激減しています。

その理由は2003,2004年に連続して巨大な台風が相次いで直撃したことで、サンゴが波浪により物理的に壊されたことが原因です。

その後、割れ落ちたサンゴ片を集め、水中ボンドで基盤である岩に貼り付ける修復作業を地元ダイバーらと行った結果、徐々に回復し2018年には海底の88%が生きたサンゴに覆われるまでに再生しました。その後オニヒトデ等による食害の影響で少し減少し、2020年はコロナ、2024年はタイミングが会わずに調査ができませんでしたが、2023年から2025年にかけて急激に減少しました。

これは2024年の夏から秋にかけて30℃を超える高水温の影響が長引いたことで、サンゴと共生している褐虫藻(かっちゅうそう)という植物プランクトンが高水温の影響でサンゴから出ていったせいで白化し、サンゴが褐虫藻からの光合成による栄養をもらうことができずに、栄養失調により死亡したためと考えられます。

夏場日照り続きで、温められた海水は比重が軽いため表層に分布し、水温の低い海水は比重が重いため海底付近にとどまります。その結果浅いところに生息するサンゴはこの高水温の影響がストレスとなり白化してしまったわけです。

近年、夏場に30℃の高水温となることが多いですが、台風などが来ることによって波浪で表層と下層の海水がかき混ぜられることで温度が下がり、それほど長い間高水温が続くことはありません。

しかし、2024年は柏島では台風の影響がそれほどなかったために、高水温が長期化したことでサンゴの記録的な白化と、その後の大量死につながったと考えられます。

下の写真は2018年5月20日のリーフチェックの様子です。

海底の88%がサンゴに覆われサンゴが生き生きしていました。

下の写真は2025年5月20日の時の様子です。

かろうじて生き残っているサンゴがありました。

画面中央、右のラインが乗っている薄い茶色の部分は元気に生きているサンゴです。その左の白くなっているところは白化していてもかろうじて生きているサンゴ、

左の薄緑色の部分は死んだあとうっすらと海藻がはえている状態です。

画面下は白化の後死んで突起などの枝が壊れ平坦になった上に少し藻が生えている状態です。

右の薄い紫色のはカギケノリといって、死んで1年以上経ったサンゴの上に繁茂している状態です。

リーフチェックは主観でなく、客観的な数値によって海の状態を把握することを目的としています。

昔は魚がよく獲れたとか、最近は全然獲れないとかという話を聞いたことがありませんか?

昔とはいつのことで、どれだけの量の魚が獲れたのか、今はどれだけ減ったのか、これはその人の主観でしかありません。

誰もがわかるような客観的データがないと、本当の状況は把握できませんし、それに対する対策も立てようがありません。

地味ですが、地道なデータを継続してとり続けることで見えることがあります。

私たちはこれまでの四半世紀にわたり柏島の海の状況を把握してきましたし、これからも続けていきます。

多くの方に海の今の現状を伝え、関心を持って貰いたいです。

 

*高知新聞2025年5月30日で紹介されています。

https://www.kochinews.co.jp/article/detail/865310

*KUTVテレビ高知 2025年5月29日の放送です。

*RKC高知放送 2025年5月29日の放送です。

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