ツノダシ
- サイズ
- 全長 25cm
- 説明
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体は強く側偏する。体高は著しく高く、特に稚魚期ではほぼ円形に近い。背鰭第3棘が糸状に著しく伸長する。口は小さく、細長い剛毛状の歯を備える。成長に伴い、吻が突出し、眼隔部に1対の突起が発達する。体色は前半が白色、後半が黄色で、2本の黒色横帯が走る。尾鰭が黒色であることに注目すれば、水中で混同しやすいハタタテダイとの識別が容易。
- 分布
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岩礁・サンゴ礁域。山口県葵、長崎県、鹿児島県長嶋、伊予灘、青森県八戸〜九州南岸の太平洋沿岸、伊豆諸島、小笠原諸島、火山列島、沖ノ鳥島、琉球列島、尖閣諸島、南大東島;韓国済州島、台湾、広東省塩田、香港、東沙群島、西沙群島、南沙群島、インドー汎太平洋。
- 生活史
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水深10m前後の内湾や礁湖の浅所でよく見られるが、分布範囲は広く、サンゴ礁外縁の水深180mの深場にまで出現する。産卵生態はよく分かっていない。卵は浮遊卵である。孵化した仔魚は、最初体高が低いが、体長(以下略)3.0mmになると頭部と軀幹軸が発達して体高が高くなり、体形は西洋凧形となる。体高の増大とともに腸管はループを形成し、3.2mmで微小な円錐状歯が出現する。7.5mmで前鰭条数が定数に達する。13.4mmになると、頭部から腹部にかけて1条の幅広い褐色横帯が出現し、約21mmで尾部後端全体が黒化する。浮遊幼期は長く、仔稚魚は海流にのって遠距離を漂流するが、それが分布域が広い要因の一つであろう。岩礁やサンゴ礁への定着時には60mmに達している。成魚は単独もしくは数個体の群れで行動するが、場所によっては100個体を超える群れも見られる。昼行性で、昼間はサンゴ礁の狭い割れ目をその突出した口で忙しくつついているが、夜になると、あまり行動しなくなり、岩やサンゴに寄り添うようにして休む。この時の体色は昼間と異なり、全体的に灰色がかっている。雑食成で、主に海綿類や海藻を摂餌する。トゲツノダシZ.canescensは本種の幼魚である。アミガサウオ・イトマキ・ノボリタテ(紀州)、シマウオ・ヤリカタギ(高知県)、ハタチャビラ(奄美)。